腰・背中の症状

腰痛の主な原因
骨や筋肉の障害

腰の中心には腰椎(腰の背骨)があり、固い骨「椎骨」と、軟らかい軟骨「椎間板」が折り重なってできています。骨同士は椎間関節という関節で連結されており、積み重なった骨が崩れないように腰椎の周囲は靭帯や筋肉によって支えられています。
こうした腰の組織が、様々な要因によって刺激を受けたり、損傷したりすると腰痛が発生します。

1)筋肉や靭帯の疲労・損傷によるもの

筋・筋膜性腰痛

腰まわりの筋肉疲労による痛み(筋肉痛・挫傷・捻挫・肉離れなど)
【主な症状・特徴】
腰あるいは腰から背中にかけての痛み
前かがみになった時に腰が痛むことが多い
腰の疲れ、張り、コリやだるさ、重苦しさなどの違和感・不快感

ぎっくり腰 【主な症状・特徴】
重いものを持ち上げたり、勢いよく立ち上がったり振り返ったり、ちょっとした動作をした瞬間に突然腰に激しい痛みが走り動けなくなる→動かずに安静にしていれば痛みが和らいでくる
【主な原因】
原因は様々で、腰の骨、関節、筋肉、靭帯などの損傷や捻挫であったり、椎間板ヘルニアや骨粗しょう症、脊髄腫瘍、尿路結石などの病気で起こることもある。
ストレスが関係しているケースもある。
腰の疲れがたまっていたり、歳をとって腰が弱くなっていると、ちょっとした動きをした時でも体をしっかり支えることができずに組織が損傷して発症しやすくなる。
腰椎症

レントゲンなどの画像をみても腰まわりの組織に異常がなく、明らかな原因を特定できない腰痛の総称
【主な症状・特徴】
腰にしつこく続く"鈍い痛み"がある。腰がこる、だるい、重い、疲れる
腰痛があるのに診察を受けても何の異常もみられない
【主な原因】
腰の筋肉や靭帯の疲労(筋・筋膜性腰痛)、腰のケガ(捻挫や打撲)、ストレス(心因性腰痛症)など

2)骨や椎間板の劣化・変形によるもの

椎間板症 椎間板が押しつぶされたり亀裂が入った状態。症状が進行すると椎間板ヘルニアになる
 【主な症状・特徴】
腰に痛みや重さ、だるさを感じる
前かがみになった時に特に腰が痛む
【主な原因】
加齢や腰への負担の蓄積などによる「椎間板の老化」
腰椎椎間板ヘルニア 椎間板が押しつぶされ、中にあるゼリー状の物質(髄核)が外に飛び出した状態
【主な症状・特徴】
腰の急な激痛(急性型)、鈍い腰痛がしつこく続く(慢性型)
足やお尻のしびれ
前かがみになると痛みやしびれが強まる
20~50歳代の男性、特に働き盛りの20~30代によく見られる。10代の若者や60代以降の高齢者は少ない
【主な原因】
加齢や腰への負担の蓄積などによる「椎間板の老化」
脊柱管狭窄症  神経の束が通る脊柱管が狭くなり、中の神経が圧迫される障害 
【主な症状・特徴】
足の痛みやしびれ。一度に長い距離を歩けない(間欠跛行)
腰を後ろに反らすと痛みやしびれが増し、前かがみになると楽になる
50歳以上の高齢者、若いころから腰痛持ちの人、腰のケガや病気を繰り返している人などによく見られる
【主な原因】
加齢・病気・ケガなどによって腰椎の骨や靭帯が変形し、脊柱管を圧迫
腰椎分離症・すべり症 椎骨を支える椎間関節が骨折して分離したり、分離したことで椎骨が前方にずれる障害
 【主な症状・特徴】
腰が疲れる、だるい、重い、鈍い痛みを感じる
「腰を後ろに反らせた時」や「長時間立ち続けたり、激しいスポーツや重労働をした時」に痛みが強まる
スポーツをする20歳以下の成長期の若者、特に10~14歳の子どもに多く見られ、骨折を伴わないケースは40歳以上の中年女性に多い
【主な原因】
椎間関節の骨折。
若者の場合は激しい運動が原因で、中年層の場合は組織の老化が原因で骨折する
変形性脊椎症

腰部の背骨(腰椎)が加齢などで変形したもの
腰部の背骨(腰椎)が加齢などで変形したもの
【主な症状・特徴】
腰がだるい、重い、鈍い痛みを感じる
「腰を後ろに反らせた時」や、「動作の始まりや疲れた時」に痛みが強まる
入浴中は症状がとても和らぐ
加齢にともなう老化現象であるため、40歳以降の高齢者に多く発症する。特に男性に多い
【主な原因】
加齢や長年の腰への負担によって骨が変形し、神経などの周辺組織を刺激する

脊柱側弯症 通常はまっすぐな背骨(脊椎)が左右に歪んて曲がってしまう病気
【主な症状・特徴】
腰や背中の痛み
背中を後ろから見た時に、背骨が左右に曲がっていたり、左右の肩・背中・腰の高さが違う
【主な原因】
姿勢の悪さ、筋肉の発育不良、肥満、椎間板ヘルニアなどの病気。原因不明のものは成長期の子ども(特に10代の女子や肥満児)に多い
骨粗鬆症 骨の密度が減り、骨の内部がスカスカになってもろくなる病気
【主な症状・特徴】
腰や背中に長くしつこく続く痛みがある
ちょっとした衝撃で骨折する。 ・以前より背中や腰が丸まってきた(曲がってきた)
閉経後の50歳以上の女性に圧倒的に多く、高齢になるほど発症しやすくなる。妊娠中や授乳期の女性にも見られることもある。男性にはほとんどみられない
【主な原因】
骨量の減少は、加齢、カルシウム不足、運動不足、痩せすぎ、飲酒・喫煙、ストレスなどが原因で起こる。特に月経が終わった更年期(50歳前後)以降の女性は骨量が大きく減少する
強直性脊椎炎 背骨や骨盤の関節組織が何らかの原因で骨に変わり、骨同士がくっついてしまう病気
【主な症状・特徴】
腰や背中が重たく感じたり、固くこわばって動かしにくい。または筋肉痛のような痛みがある
日本の患者数は400~500名の珍しい病気。患者の大半が10~20代の若者で男性に多い
【主な原因】
詳しい原因は不明。遺伝的な要因があると考えられている
リウマチ性多発筋痛症 ウイルスや細菌などの外敵から体を守る"免疫システム"に異常が発生する病気「膠原病」の一種
【主な症状・特徴】
首から肩、あるいは腰などに強い痛みと"こわばり"がある
ほとんどは50代~60代以上の高齢者に発症する原因不明の病気
【こんな症状が現れることも】
関節の痛み、全身のだるさ、体重減少、食欲低下、微熱など

神経の障害

お尻から足先に向かって伸びる坐骨神経は1mもの長さがあり、腰から太もも、足先まで広い範囲の知覚をつかさどっています。
椎間板ヘルニアなどによって腰の組織が変形し、坐骨神経が圧迫されたり炎症を起こしたりすると、神経の支配する広い部位で強い痛みやしびれが生じます。

坐骨神経痛 腰から足先に向かって伸びる坐骨神経が圧迫を受けたり炎症を起こしたりするもの
 【主な症状・特徴】
下半身の強い痛みやしびれ(腰から足の裏までの広範囲に発生しうる)。動かず安静にしていても痛みやしびれがおさまらない
【主な原因】
腰の病気や障害によって神経が刺激・圧迫される
椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性腰椎症、腰椎分離症・すべり症、脊髄腫瘍など
帯状疱疹、糖尿病、うつ病、リウマチ、アルコール依存症などが原因となることも
帯状疱疹 過去に水ぼうそうを起こしたウイルスが体内で再び活性化するもの
【主な症状・特徴】
下半身に神経痛のようなピリピリとした痛み、時には激しい痛みを感じる。悪化すると高熱が出ることもある
痛む箇所に赤い腫れや小さな水ぶくれが"帯状に連なって"できる
【主な原因】
体内に残る水痘ウイルスが、加齢や過労などで免疫(抵抗力)が低下した時に再び活性化する

ストレス、不安、うつなどの精神的・心理的要因

近年まで、腰痛とは腰の骨や椎間板、神経などの損傷・異常によって起こるものだと考えられていました。
しかしその後の研究によって、腰痛の原因はもっと多様で複雑なものであり、さらに原因不明の腰痛の多くには、多かれ少なかれ精神的ストレスなどの心の問題が関わっていることが判明しています。
こうした腰痛は心因性腰痛症と呼ばれ、ストレスの多い現代社会において多く見られるようになりました。

ストレスや悩みといった心労が重なると、自律神経などの体の痛みを制御するシステムに異常が生じて、通常では感じられない痛みを感じたり、弱い痛みを何倍にも強く感じるようになります。ストレスが解消されない限り腰痛が完治しないため、「慢性的な腰痛」には精神的・心理的な要因が関わっているケースが多く見受けられます。

心因性腰痛症 精神的ストレスが原因となって起こる腰痛
 【主な症状・特徴】
検査をしても骨や筋肉などに異常がないことが多い
一般的な腰痛の治療でも良くならない(鎮痛剤も効きにくく、手術をしても治らない)
慢性腰痛に多くみられる(ストレスが解消されない限り痛みがいつまでも続く)
痛む箇所、痛み方、痛みの大きさが日によって変わる
姿勢や動作に関係なく痛む
嫌なことを始める前など、ストレスが大きくなる時に痛み始めたり痛みが大きくなる
一度良くなってもすぐに腰痛が再発する

内科的疾患(内臓の病気)

胃、肝臓、腎臓、子宮などの内蔵器官の病気の中には、症状の一つとして腰痛が見られるものがあります。
一見、腰とは関係のない箇所の障害で腰痛が発生するのは、臓器周辺に発生した痛みが腰にまで響いたり(放散痛)、ある部位の痛みを別の部位の痛みと脳が勘違いしたり(関連痛)、病巣が腰の近くの組織まで広がって痛みをもたらしたりするためです。

消化器系の病気  胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がん、胃下垂、肝硬変、肝臓がん、膵炎、膵臓がん、胆嚢炎、胆石症、大腸がん
泌尿器系の病気 尿路結石、腎盂腎炎、腎周囲炎、水腎症、腎梗塞、単純性腎嚢胞、腎静脈血栓症、腎下垂
婦人系の病気 子宮内膜症、子宮筋腫・子宮ポリープ、子宮がん、子宮頸管炎、月経痛(月経困難症・月経前症候群)、月経不順、更年期障害
血管系の病気 腹部大動脈瘤
脊椎の病気 化膿性脊椎炎、脊椎カリエス、脊髄腫瘍・脊椎腫瘍